「春の牡蠣が一番美味しい!」って本当?



牡蠣の旬は冬というのが通説で、春以降食卓に並ぶことはほとんどありません。でも、地元のお店では春以降も牡蠣を提供するところもあります。人によっては「春牡蠣の方が美味しい!」という意見もあるほど。食品工学の分野でトップクラスの研究者として知られる羽倉教授にその訳を教えていただきました。

広島大学 大学院 生物圏科学研究科  羽倉 義雄 教授


Q  春の牡蠣も美味しいと聞きますが、どんな美味しさが特徴ですか?

牡蠣には、グリコーゲンが多く含まれています。他の貝類とは違った一種独特の牡蠣の「おいしさ」は、このグリコーゲンの含有量の多さに左右されると言われています。また牡蠣には18種類のアミノ酸が含まれています。その中には、うま味や甘味に関与するアミノ酸も複数存在しています。牡蠣のグリコーゲンとアミノ酸について、その含有量の季節変動を調べました。グリコーゲン含有量は、夏場は少ないのですが、その後増加し始めます。そして11月から5月にかけて、とても高いグリコーゲン含有量を維持していることが分かりました。アミノ酸の含有量も、秋以降に増加し始め、2月から4月にかけて最も高い値を示していました。 このような変化からも、春の牡蠣は美味しさに関係する成分が最も多い季節であることがお分かり頂けると思います。

Q  春の牡蠣をおいしくいただく、おすすめの食べ方はなんですか?

春でも寒い時期はやはり鍋料理などの熱々で食べる料理ですが、だんだん暖かくなってくると、さっぱりとした料理に利用するのも良いと思います。例えば、蒸した牡蠣と新玉ねぎのマリネや、牡蠣をニンニクで香りづけしたオリーブオイルで炒めて、料理の付け合わせやパスタの具材などにするのもおいしいのではないでしょうか?さらに気温が上がってきたら、牡蠣ルイベもおいしいです。濃い目の食塩水で牡蠣を脱水し、冷凍します。これを凍ったまま薄切りにすると牡蠣のルイベが出来上がります。ルイベの本来の姿は、冷凍した鮭を解凍せずにそのまま薄く切ってお刺身として食べる北海道の郷土料理ですが、牡蠣のルイベもお酒にとっても合います。